1990X発行人斉藤まことによる成分解説その二。ホンマタカシ「90年代の子供」に関して

おかげさまで大きな反響を得て、お正月明けからは取り扱い店もさらに増えそうな
90年代生まれ女子と90年代文化をMIX掲載するジェネレーションギャップ氷解マガジン
『1990X』。

ここでは中面の隠れメインページ、ホンマタカシ『90年代の子供』について解説したいと
思います。

X-girlのウインドブレーカーを着たマエダエマから始まるこのページ、
まずは以下でX-girlの成り立ちについて知ってもらえればと思います。

http://d.hatena.ne.jp/jun_amai/20101101/1288601100

この当時の、新しいハイエンドな文化が今そこに発生している現場感を表す動画集はこちら。
8、9が特に『90年代の子供』に関連しています。

http://www.eazeart.com/90s-tube/2841/

90年代、ホンマタカシの登場が画期的だったのは、ホンマタカシ登場以前の日本のファッション写真・雑誌写真は
どれだけ海外のモード写真やファッション誌の写真を換骨奪胎するかということをテーマにした、いわばコピー至上
主義だったのを、新しい写真のスタンダードは東京にある、と転換して、まさにニュートーキョースタンダードを
作り上げたことでした。

結果、ホンマタカシが中心軸となり、ニューカラーが新しい写真のスタンダードになり、さまざまな海外のアーティスト
が来日し、「ホンマタカシ的なるもの」を持ち帰り自作に活かすようになります。

その代表例がソフィア・コッポラの『ヴァージン・スーサイズ』。この映画の色調、構図の元がホンマの著作『Baby Generation』とそれに関連した渋谷パルコの『Baby Generation』展にあったのは明らか。

『Baby Generation』の中身チラ見できます
http://www.flotsambooks.com/SHOP/PF00076.html

80年代中後記のホンマタカシと話してとにかく刺激的だったのは、ぼくが当時愛好していた作家やアーティストの多くが
ホンマタカシファンだったこと。

X-girlのロゴを手掛けたマイク・ミルズ

http://npn.co.jp/article/detail/18657879/

「ニュートーキョースタンダード」を確立したホンマタカシ2001年発表の写真集「東京の子供」の解説は「ジェネレーションX」の著者ダグラス・クープラン

http://auok.auone.jp/item/item_379950627.html

特にダグラス・クープランドに「東京の子供」の解説をお願いしようと連絡したら、クープランドが来日中だったという逸話は
当時のホンマタカシ軸のニュートーキョースタンダード・カルチャーの隆盛を伝えるものでしょう。

さて、それで『90年代の子供』です。

マエダエマ×X-girlに使われているX-girのウエアーはマイク・ミルズがデザインに関わっていたもの。

ホンマタカシの90年代写真と一緒に構成させているのは本誌に登場した以下の90年代生まれ女子の幼少時の写真。

2見開き目の1994年のX-girlのパーティの中にインサートされているのはマエダエマ。

3見開き目の右側の素朴な子供は鵣川カナ。

4見開き目の右側の制服の女の子は平野紗季子。

6見開き目の右側のVサインをしている子は佐野ひなこ

というように、このページは90年代の現場写真と本誌がこれらかの活躍を期待している90年代生まれ女子
とのまさにMIXページになっているのです。

「90年代読本」と聞いたのに懐かしネタが足りない。『1990X』に関してそんな声を耳にしますが、それは
むしろ狙いなのです。90年代という記憶資源を活用しつつ、この雑誌から新しい才能が発掘できたら、という
のが、本書の発刊動機でもあるので。

以下裏面煽りです。ビビッときた方はぜひ年始の読書に!