3/31発売のshortcoco「ホンマタカシのセカイカメラ(記憶篇)」、確実に手に入れたい方はお早目のご予約を!

4月9日(土)より6月26日(日)まで、「ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー」東京オペラシティアートギャラリーで開催!

その展示を見る際の一助になればと思い、気がつくとホンマタカシと早17年のつきあいの本誌編集長・斉藤まことが3/31発売の
shortcocoホンマタカシセカイカメラ(記憶篇)」特集の最後に「ホンマタカシ私論」を書きました!
ここではそのイントロ部分を紹介!


ホンマタカシセカイカメラ(記憶篇)」特集の最後に掲載したのは、ホンマタカシがプロのカメラマンとして活動を始めた80年代後半から90年代初頭の作品。いささか刺激的なものが多く、雑誌との親和性が高いとは言い難いのですが、これらの作品は東京で開催されるオペラシティアートギャラリーでの展覧会オンリーで発表されるので、その事前告知ということを第一義に載せました。
そして、第二義として、これらの作品はぼくの「想い出のホンマタカシ写真」でもあるので以下そのことを起点に、はずかしながら少しホンマタカシ私論を展開したいと思います。
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ホンマタカシとの出会いは94年、当時彼はイギリスの権威あるユースカルチャーマガジン『i-D magazine』でクラブカルチャーをテーマにした作品を発表していて、その一部がここ(3/31発売shortcoco)に掲載したものだ。ぼくは創刊したばかりの『H』という写真メインのカルチャー誌の現場を任されていて、日々いろいろなカメラマンに会ってはそれぞれのブックを見せてもらうことを日課にしていた。
当時は、海外でしばらく写真家として活動を行いその国のクオリティーペーパー的な雑誌に作品が掲載される→凱旋帰国的に活動の軸を東京に戻す→ 景気のよかった広告業界や音楽業界から仕事が殺到、という写真家が売れる黄金パターンがあって、「あのi-D」を仕切るテリー・ジョーンズに認められたホンマはすごい!という噂が噂を呼び、気がはやい編集者は名前がすごく似ているホンマ某というカメラマンに間違って仕事を発注してしまったりしていたほどだった。
そんなホンマタカシが『H』にも興味を持ってくれていて、会社に来てくれるという。どんな人なんだろう?
待ち合わせに遅れてしまったぼくはドアを開き会議スペースにあわてて走り込むと、そこには腕組みをした、『AKIRA』に出て来る白髪の少年タカシがいた(意味不明な人はこちらをご覧いただいてから活字にお戻りください)。→http://dbeat.bandaivisual.co.jp/akira/akirachara.html
どうですか? そっくりですよね。『AKIRA』の超能力少年タカシとホンマタカシ。当時たぶんホンマタカシは写真漬けの日々でアニメキャラに影響されたいでたちをするわけないのだが、ぼくには原作マンガのときから一番気になるキャラだった“老少年”タカシ=ホンマタカシにしか見えなかった。その印象については何も伝えずホンマタカシが持ってきてくれたブック(ここに掲載したものが収録されてた)をめくる。
「そうかそうか。『AKIRA』のタカシは念動力を使うけど、ホンマタカシは憑依能力が使えるんだな。だから写真が『i-D magazine』っぽいのか」
アタマの中でそうファイリングしたぼくは、当時『H』で扱っていたボンデージ・アートの話をホンマタカシに振った。するとホンマタカシ
「てめー、なに言ってんだ」
というテレパシーをぼくに送りつつ、ボンテージ・アートについて深い洞察を披露した。持ってきてくれたブックをよく見ると、ホンマタカシは既にボンテージ・アートのニンフ的存在だったベティ・ペイジ本歌取りした作品を撮っていたのだった。ぼくはホンマタカシの「俺はいつも先をいってるぞ」的なナチュラルな威圧感にすごく好感を持った。当時も17年経った今もぼくは人とは違うアンペアで生きている人が好きなのだ。
ほどなく、ホンマタカシはものすごい磁力を持つカメラマンになっていった。その後ぼくは『H』の編集長に就任したこともあり、月に二、三度は恵比寿にあったホンマ事務所に顔を出したが、その度にCDの山が高くなっていた。
「ひょっとして、これ全部仕事受けたアーティストのCDですか?」
ぼくが尋ねるとホンマタカシは今度は『AKIRA』の主人公・金田(←カップヌードルのCMにも出ていたキャラ)のようなやっかいな笑みを浮かべて言った。
「いや、こっちは全部断ったやつ」
(※続きは3/31発売のshortcocoにてお読みください。先の震災の影響もあり、流通網も疲弊しているので、皆さんのお近くの書店に本誌がお届けできるか微妙なので、確実に手に入れたい方は下記アマゾンにてご予約していただければと思います)

shortcoco. (ショートココ) 2011年 05月号 [雑誌]

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4月9日(土)より6月26日(日)まで、「ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー」東京オペラシティアートギャラリーで開催
http://www.operacity.jp/ag/exh129/