6/17より『平清盛』にいよいよ窪田重盛登場! 窪田正孝がまさに「功名を上げる」最大の機会だと思うので今あえて思うことを記します 

役ごとに顔もたたずまいも違う、役になりきる憑依型俳優。

かつてそう呼ばれていた松ケンが役よりも俳優・松山ケンイチとしての軸が強くなったのは、思うに『L change the WorLd』からだと思う。

前作『デスノート / the Last name』の大ヒットを受け、松ケンL を主役に据えたこの作品から、松山ケンイチは松ケンという略語ブランド 化して、主演映画作品が次々と制作されるようになる。

そして、『GANTZ 』での二宮和也とのダブル主演。ここで松ケンは「今回加藤を演じる松山さんは…」と、完全に"松ケン前提"で語られるようになっていた。この時点で松ケンは、憑依型俳優から、まず松ケンありき、というファーストプライオリティを獲得していたのだ。


俳優として名前が売れるというのはつまりそういうことだと思う。


冷酷な殺人犯からマンガチックなパンクロッカーまで自在に演じる新・憑依型俳優としてデビュー以来高い評価を得てきた窪田正孝。今彼は、「あの××の役やっている人、窪田正孝っていうんだ」という役ありきという軸から、主語が窪田正孝で役柄が述語、という軸にスライドできるか、それこそまさに「功名を上げる」かどうかの瀬戸際にいる。

それが奇しくも、松ケン演じる清盛の息子役の重盛役というのも、非常に示唆的だ。

ぼくは縁あって、窪田正孝の活動を自分のもっている紙媒体でひんぱんに取材させてもらっているが、その度に感じるのは、本当に彼の人柄は非の打ち所がないということ。

たとえば、今回の重盛役決定後、NHKの番宣で京都に行って、番組内でお寺詣りをした際、窪田正孝は、お寺の方から清盛のストラップをもらったのだという。その際、窪田正孝は「僕が持っているより松山さんにあげたほうがいいですよね?」と言ったそうで、その"瞬間的気遣い"は本当に素晴らしいと思う(この話のオチは、お寺の方はもう一個清盛ストラップをくださって、それに対しては窪田正孝は「じゃあ松山さんとお揃いでつけます!」と言ったそう)

それは、窪田正孝の安定の人柄力を表すいいエピソードだと思うのだけど、僕としては今回重盛という難役を演じるに当たって、そのバランサー感覚をハズしてしまってもいいと思うのだ。

指原莉乃の衝撃のHKT48移籍が発表された6/16のオールナイトニッポン秋元康は「スターの条件ってなんですか?」というリスナーの質問にこう応えていた。

「ある意味、周りを気にしないこと。周りの人に気を遣いすぎるとオーラが消えちゃうんだよね」


この発言、そのまま今の窪田正孝に送りたい。重盛役は今後窪田正孝がバイプレーヤーポジションからメインキャストにまわれるかを左右する重要な役だからこそ周りを見すぎないで役にのめり込んで欲しいと思うのだ。

たとえば、そこで得た"なにか"が彼の実人格にも影響を及ぼして今度うちの取材で会ったときに「ああ、窪田くん変わっちゃったな」と僕が個人的に残念な気持ちになっても、それが窪田正孝のオーラ倍増の反作用なら、全然OKだ。

と、いうわけで本日6/17心して『平清盛』オンエアを観たいと思う。

僕は重盛役で、なにかを得て、なにかを捨てる窪田正孝が見たい。